YAMAHA SR400 風をつかむクラシック・シングル
2001年式のSR400、車両型式RH01J。
キャブモデルとしては“終わりの時代”に入っていく頃の年式だ。
古さも新しさも程よく混ざり合うこの世代を、エーモンの動画系カメラマンが、自分らしいバランスで整えたのが今回の一台。
派手なカスタムではない。
けれど、どのパーツも「そのほうが気持ちよく走れるから」という理由がある。
そんな落ち着いたSRに仕上がっている。
ステムとトップブリッジ
ボアエース STDセパハン用ステム 47S-3
POSH Faith マシンドTZレプリカトップブリッジ
ステムとトップブリッジはバイクの表情を決める重要なパートだ。
このSRに選ばれたのは、ボアエースのSTDセパハン用ステムとPOSH FaithのTZトップブリッジ。
古いSR特有の軽さや頼りなさを引き締めつつ、ノーマルの延長線上にある自然な佇まいを崩さない、絶妙な組み合わせだ。
ブレーキ・クラッチまわり
GALESPEEDマスターシリンダー
ZETA クラッチレバー ZE4302
ブレーキマスターはGALESPEED、クラッチレバーはZETA。
どちらも信頼感のある定番だが、よく見ると色が揃っている。
これはボアエースが細かくペイントを施し、ハンドル周り全体の視界の流れに違和感が出ないよう調整しているから。
実際に握ってみると、レバーの重さや節度感が手の中で綺麗にそろう。
停止から発進までの一連の操作が滑らかで、「このSR、なんか上質だな」と思わされる。
操作フィーリングと見た目を両立させた組み合わせだ。
ハンドルまわり
MAGURAハンドル
2%センター ハンドルリングスイッチ アルミ L2 汎用
ハンドルはMAGURA。しっかりとした剛性が空冷シングルと相性が良い。
スイッチは右側を撤去し、左側のみ2%センター製のハンドルリングスイッチ アルミ L2 汎用を装着。
必要な操作だけを残すことで、視界がすっきりした印象になる。
メーター・キーシリンダーまわり
DAYTONA ベリアタイプ 機械式 メーター
Peyton Place メインキー移動ステー
デイトナのベリアタイプ機械式 メーターは、トップブリッジと段差なく見えるようにカラーを入れて少しだけ下げて取り付けている。
ほんの数センチだが、コックピットがすっきり見えるポイントだ。
電圧と油温監視用のヨシムラ・プログレスは、存在感が強くなりすぎないようさらに控えめな位置にオフセットしている。
必要なときだけすっと視界に入る、ちょうどいい置き方になっている。
キーシリンダーは中央に突き出す形を避け、左サイドへ移設。
ハンドルまわりの見た目が整い、視界のノイズが少なくなる。
ライト周り
Peyton Place ルーカスタイプヘッドライトケース ・WMライトステー
POSH Faith ウインカー
ウインカーはPOSH Faith、ライトステーはWMを選択。
どちらもシンプルで扱いやすく、SRの顔つきを崩さずに程よく引き締まる。
ヘッドライトにはPeyton Placeのカバーを使用。
2000年代前半のSRカスタムらしい雰囲気が出て、当時のストリート感をさりげなく取り入れている。
エンジンまわり
SR500クランク・FCR39
エンジンはSR500のクランクを入れて500化。
FCR39キャブレターを組み合わせ、マニホールドとファンネルはボアエース製の
・エアーアシストファンネル
・FCR用マニホールド+インテークアシスト
を使用している。
セッティングにはボアエースのFCR 特殊パイロットスクリューを使用。
スロットルを開けたときのレスポンスが良く、単気筒らしい反応とトルク感が気持ちいい。
セッティング例
M/J #170
JN OCFMN
JN 3/7
S/J #58
P/S 特殊パイロット
A/S アシストファンネルの為取り外し
BORE ACE レスポンス(クランクケース用)+ブリーザーフィルター
ボアエースのクランクケースレスポンスとブリーザーフィルターを装着している。
どちらも見た目こそ控えめだが、走り出すと違いが分かるパーツだ。
メーカー曰く、エンジンはピストンが上下するたびに、クランクケースの中で空気が押されたり引かれたりして、呼吸しているような動きが起こっている。
通常は同じ空気量が行き来するのだが、このレスポンスパーツは 戻ろうとする空気量にほんの少し差をつける ことでピストンの動きが軽く、力強く感じられる。
特に低〜中回転域のつながりが素直になり、単気筒らしい気持ちよさがより際立つ。
ブレーキ・足まわり
SUNSTAR ディスク+Bremboキャリパー
フロントはSUNSTAR製
旧型ハブ用 セミフローティング仕様
320mmディスクローター 厚み5.0mmのディスク
Brembo 4POT 40mmピッチキャリパー。
ブラックのキャリパーサポートを使用してボルトもステンレスに交換している。
500化されたエンジンに対してしっかりとした制動力が得られる。
扱いやすく、街乗りから峠まで安定して使える仕様だ。
リアは純正ドラムのまま。
クラシックらしいスタイルを残したいという意図があり、見た目の落ち着きにもつながっている。
EXCEL RIM
ホイールはエキセルリムでワイド化。
タイヤはTT100を選択している。
クラシックな雰囲気のまま、接地感と安心感が得られる組み合わせだ。
今後はリアサスペンションを見直す予定。
マフラー
BELTLAN メガホンマフラー
マフラーはBELTRAN(ベルトラン)。
腹下を軽くくぐる独特のラインが、横から見たときのシルエットを整えてくれる。
音も落ち着いていて、500化エンジンとの相性が良い。
電装・リアまわり
配線処理と電装プレート
FCR化でエアクリボックスが外れるため、露出してしまう電装をすべて引き直し、シート下へすっきり収納している。
電装プレートはデルスラーラとPOSH Faithの併用。
ボアエース加工のプレートが使われており、末端の取り付けもきれいに収まる。
シートとマッドガード
シートはボアエースのオリジナルシート。
厚みがちょうどよく、クラシックなラインにも馴染む。
マッドガードはデルスラーラ製。
現行ではほとんど入手できないパーツのため、この車両にとっては貴重な存在だ。
最後に
このSR400は、派手さを狙ったカスタムではなく、
「自分が気持ちよく走れるか」「見てしっくりくるか」という基準だけで少しずつ手を入れていった一台だ。
結果としてカフェレーサー寄りの雰囲気になっているが、それも狙いというより、好みを積み重ねた先で自然と辿り着いた形に近い。
年式の2001年は、オーナーの青春ど真ん中の時代。
当時のSRカスタムの空気感をところどころに残しながら、いまの技術やパーツも無理なく取り入れている。
その混ざり具合がちょうどよく、“昔の良さ”と“今の乗りやすさ”が、無理なく同居しているのがこの車両の魅力だ。
2001年式RH01Jの素直さをそのままに、日常でも長距離でも気持ちよく付き合える。
そんなバランスのいいSRに仕上がっている。