お話を伺ったのは、プロモーション推進部 デザイン課主任の中村さん。
当社のPOPやポスター・パッケージなどは、実はすべて社内制作。
また、製品の見た目なども、デザイン課で検討し制作しています。
中村さんは、そんな多岐に渡るデザイン業務を支える一人として日々さまざまな制作物を作成されています。
今回は、デザインに込める思いや仕事を進める中で大切にしていることについてお聞きしました。
デザインの引き出しを増やす
──POPやパッケージ制作を続ける中で感じている事と、最近意識している取り組みはありますか?
デザインってお客様あっての仕事なので、お客様にしっかり想いが届くように制作することが大切だと思っているんです。
POPやパッケージ作成をずっとやっていると、コンセプト立てや伝えるためのアイデアを出す事が疎かになって来やすいと思っていて、いつも通りのテイストになってしまったりとか手癖でデザインをするみたいな事が最近(デザイン課全体で)多いと感じています。
元々手癖っていうのは誰でもあると思うんですけど、最終お客様に商品を届けるためには手癖だけでは越えられない仕事が出てくると思うし、手癖でデザインしてると、多分全力を出さずにある程度これでいいやみたいな癖がついちゃうと思います。
そこで最近は業務の合間にオンライン講座でデザインの勉強をして、改めてコンセプトの立て方やアイデアの出し方、プロの人はどうデザインしてるのかを学び、制作物や制作過程を見直すきっかけにしています。
できることが増えると「あの人に頼んだら思ってもなかったことを色々やってくれそう」と期待が持てて、もっと頼ってもらえると思います。
チームで仕事をしているので、得意なところを伸ばしつつ苦手なところを補い合いながら、デザイン課全体で少しずづレベルアップしてオールマイティーに仕事ができたらいいなと思っています。
後悔しないデザインのために
──手がけてきたデザインを振り返って、今どんな思いがありますか?
2025年に発売したバイク用品ブランド”モトレクション”の新製品「バイク専用スマホ充電器」のプロダクトデザインは、比較的早い段階から動き出していて、時間があった分「ここを変えてみよう」と挑戦して、ベストだと思う形でデザインを作れたと思います。
ベストだと思って決めたはずの仕様や形状も、ニーズや流行が変わって時間が経つにつれて、別の選択肢が見えてくることがあり、「もっとより良いアプローチや形状があるかもしれない」「もう一段階、完成度が高められるかもしれない」と思うことがあります。
プロダクトデザイン全般に対してそういった思いはずっとあって、だからこそ「仕様を決めるその瞬間に、後から見返しても後悔しないデザインを作りたい。」という気持ちは常に持ち続けています。
擬音から生まれるプロダクト
──大切にしている視点や考え方はありますか
プロダクトデザインについてなんですけど、一番大事だと思っているのは、「お客様が求めているものを形にすること」です。
当社で新製品のプロダクトをつくる場合、開発部と協力して形を決めていきます。
開発側は機能やスペックといった要素を考え、ユーザーの心理や使い勝手といった部分を補完するのがデザイン課の役割なのかなと感じています。「もし自分がこの製品を買うなら、どんな見た目や使い心地がいいだろうか」と常に意識しています。
プロダクトデザインを考えるときに、私がよく使っている手法のひとつが「擬音語」です。
「この製品を使ったときに、どんな音が鳴ってほしいか」をイメージしながらデザインしています。
たとえば、「フワッ」なのか、「カチッ」なのか、「ゴリゴリ」なのか…擬音を当てはめることで、どんな機構や形状がいいのかを、直感的に想像しやすくなるんです。
特に立体物をつくるプロダクトデザインでは、質感や手触りが重要になってきます。
擬音語を使うことで、「どんな感触が心地いいか」「ユーザーがどう感じるか」を具体的にイメージしながらデザインしています。
「コンパクト」「スタイリッシュ」「タフ」といった言葉は、とても抽象的で、人によって受け取り方が違います。
だからこそ、自分の中で具体的に想像できるところまで落とし込むために、「擬音語」という手法を使っています。
ユーザーが実際に使ったときに、どう感じるのか。その感覚を大切にしながら、プロダクトデザインに向き合っています。
その先にいる人を想って
──仕事をする上での“モットー”はありますか?
綺麗事かもしれませんが、「依頼してくれた人が喜んでくれるかどうか」は、常に意識しています。
デザインは、好き勝手に表現するものではなく依頼主の課題を解決するためのものだと思っていて、「自分がこれが好きだから出しました」だけではデザインとは言えないのかなと思っています。
理想は、依頼主が想像していたもの以上の提案をすること。
「こんな良いものが出てくると思わなかった」「確かに、こういう考え方もあるよね」と感じてもらえるような提案をできたらいいなと思っています。
私はグラフィックデザインを専門で学んできたわけではなく、知識や経験がまだまだ足りないと感じることもあります。
それでも、お客様が求めていることに少しでも応えられて、自分たちが伝えたい事をしっかり伝えられるようにその時点での自分の最大限の力を出して、
「これは自信を持って出せる」
と思えるものを作りたい。
この考え方は、デザイン課全員が持っていてほしい大切な部分だと思っています。
インタビューを終えて
取材を通して印象的だったのは、「デザインを作った先に誰がいるのか」を常に考えていたことでした。
制作物に込めた工夫や考え方の中心には、常に「それを受け取る人がどう感じるか」という視点があります。
デザインを個人の表現として見るのではなく、あくまで誰かに想いを届ける手段として捉えている点がとても印象的でした。