ロードスターレストアプロジェクト 最終話 後編|一台のロードスターに、みんなの手が重なっていく。

2025.08.26

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この記事の目次

最終話 後編|一台のロードスターに、みんなの手が重なっていく。

ついに迎えた最終工程。


これまで積み上げてきた時間と情熱が、いよいよ「一台のクルマ」として完成へと向かう。

Day 5:仕上げに向け、チームはふたつに分かれる

この日は、エンジンを載せるチームと内装を仕上げるチームに分かれて作業を進行。

エンジンチームは松岡と、応援に駆けつけてくれた現役整備士のA氏。
内装は祖浦・高橋・藤田の3人が担当。

車内ではダッシュボードやステアリング、内装トリム類の取り付けが中心。
祖浦を軸に、手際よく組み上がっていく様子に、見ていた皆も思わず「早っ」と驚くほど。

エンジンは、慎重にクレーンで上から吊り下ろし、3人が息を合わせながら搭載作業を進めていく。
この場面に宿るのは、緊張と期待。そして信頼。

「よし、いけた」
無事に収まった瞬間、祖浦の顔には少年のような笑みがこぼれていた。

そして、難関のミッションへ

次に取り掛かるのは、ミッションの取り付け。
傾けながら角度を調整しても、なかなか噛み合わない厄介な作業だ。

何度も微調整を繰り返しながら、全員で知恵と力を持ち寄り、ついに結合。
現場にいた全員が、自然とガッツポーズを見せる瞬間だった。

Day 6:すべては、この瞬間のために

この日は、エンジンを始動させるための最終準備。

水回り、オイル、配管、ハーネス類の取り回しを進め、細かい確認を重ねながら慎重に仕上げていく。
地味に見える工程だが、どれもエンジン始動には欠かせない、大切な作業。

ブレーキまわりのエア抜きは高橋と藤田。
マフラーはフジツボを装着。

迫力あるルックスに仕上がっていく。

そして、すべての準備が整った。

プラグを取り付け、いざ、セル始動――。

……が、ここでトラブル発生。
イグニッションが反応しない。電源が入らない。

原因はハーネスか? コンピューターか?

確認を進めて修正すると電源が無事に入り、セルが回る状態に。

しかしさらに、ガソリンタンクからの漏れが判明。
配管を調整して対応し、ようやく、エンジン始動へ。

社長も見守るなか、ついにセルが回る――。

「かかった!!」

歓声と拍手。
何度もテストしたはずのエンジンが、ロードスターのボディの中で、しっかりと目覚めた。

藤田は後日語った
「鳥肌が立った」と

Day 7:最後の仕上げ、そして走り出す

残すは仕上げ工程。

ここまで来ると、チームの手は加速度的に早くなる。
笑顔と冗談が飛び交いながらも、最終確認を一つひとつ丁寧に進めていく。

ギアの入りを確認し、ホイールを装着。
取り付けたすべてのパーツのネジ締めや漏れを最終チェック。

そして――
完成したロードスターが、敷地内を走り出した。

レストア開始から数ヶ月。
この瞬間を目指して、みんなが手を重ねてきた。

ロードスターレストアプロジェクト #8 動画

編集後記

「クルマを、みんなでレストアしよう」
はじめはそんなシンプルな一言から始まった企画でした。

慣れない作業に戸惑いながらも、手を取り合ってエンジンをばらし、磨き、組み立てて。
プロの手も借りながら、でも最後まで“自分たちの手で”組み上げたこの一台には、
見た目以上にたくさんの想いと、汗と、声が詰まっています。

このプロジェクトが、クルマを好きになるきっかけになった人もいます。
エンジンの仕組みや、整備の奥深さを知った人もいます。

完成したロードスターは、エーモンの一台であると同時に、
ここに関わった全員の作品だと思います。